2024年12月1日日曜日

2024年11月30日夜、宮坂了作さんの作品映像上映会

 20241130日夜、宮坂了作さんの作品映像上映会が催されました。途中に本人のちょっとした解説も交わりながら本編60分あまり、退屈しない鑑賞会でした。


集まったお客さんは30名以上。会場となった”sanji”さんは了作さん宅からすぐ近くのすてきな美容院でした。会場には、アーティスト了作が誕生するに至った各時代で影響を受けた、巨匠の作品が何点か展示されていました。高松二郎、松澤宥、アメリカ時代の盟友ススム・サカグチ。そして最新の作品水をそそぐシリーズ道具の数々。諏訪湖を取り囲む自治体の首長が、この容器を使って水を注ぐパフォーマンスを行いました。水は各地区の酒蔵から採取された仕込み水です。この模様は映像の中に登場しました。


映像では、近作”POISON”諏訪湖でうちわを扇ぐ”ICE”土に土で土と描くとハプニングの様子を観ることができます。ドローンを多用した超視覚的な風景が作品を演出します。

カルフォルニア時代、”A・ファイア・フェスティバルの<火>があります。帰国後、数十年にわたって描かれ来た地図のペインティング。了作さんは、この長い時期を越えて、近年ハプニングの作品を再起動させます。<植物><風><水><土>と原初的な素材を用い、あくまでも実直で真剣に、時には痛烈な批判とジョーク。映像終盤、20247月マツモトアートセンターで行われたハプニング Happening  宮坂了作 74歳 肉体 再制作に至ります。会場にその時の写真が大きなパネルで展示されていました。全てを脱ぎ去った、本人いわく醜い74歳の肉体は、決して醜悪では無く、信念が一貫した真摯なアーティストの揺るぎない姿が映っていました。その力強さには圧巻です。


上映後、しばらく話は続きました。自身が影響を受けてきた師匠との関わり、アート界の状況。

アラン・カプロー(1927-2006)は、おそらく了作さんに最大の影響をもたらした師であると思われます。ハプニングを発明し、その後の芸術に大きな影響を与えた人物。彼が、日本人唯一の直弟子、ミヤサカに見出したのは、その後に発展するであろう自然や大地、環境と不可分な人間のありようであったのかもしれません。


しばし話を聴きながら、白壁の映像スクリーンとその下に展示された作品群の情景を見入り、これはカプロー先生に捧げられた祭壇なのではないのかと感じ入りました。まさにハプニング、この会場にいた誰もが、happen何かが起こる最初の一筆の感覚を体験し帰宅した夜でした。




2024年2月22日木曜日

2024年2月22日 オブジェを消せ 松澤宥 展

 ”オブジェを消せ” この啓示は過去60年に渡って真摯な美術家たちを悩ませてきた。同一性をもち、言葉で説明でき、売り買いできる西欧型美術作品群に慣れきってしまった我々には、この言葉がもつダイナミズムを捉えることができず、思い違いをしてしまう。そして悩んでしまい、作品が作れなくなる。

2024年2月22日、マツモトアートセンターGalleryで「オブジェを消せ 松澤宥」展を鑑賞する。2022年同会場で開催された「私の死」展に衝撃を受けた身としては、期待というより、また怖いもの見てみたいという好奇心に動かされての鑑賞であった。その結果は、やはりやられてしまった。誰もいない展示空間で、じっと広がる巨大な白い円を想起してみる。”お告げ”の場所には、全開の窓になんでもない寒空の街が広がる。旧来型の展示と期待していけば、作品点数は決して多くはなく、レプリカも多い状態に早々に肩透かしされてしまうだろう。しかし、そういうものではないということを突きつけられるのだ。長年松澤芸術に接してきた北澤さんが今出せる解釈がここにある。北澤さんの方法で松澤作品がより身近に垣間見られるのである。

そこに行って実際に体感し時間を共有することがいかに大切かを感じた。松本の夜が虚空間状況探知センターになったひとときであった。











2024年1月8日月曜日

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